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【保育士】今の給料は多い?少ない?簡単に判断する方法【転職を考える前に】



こんにちは、認定こども園副園長の「しん」です。

みなさんはこのような悩みを抱えたことはありませんか。

  • 転職を考えているけど、今の給料が多いのか少ないのかわからない
  • 他の保育士や保育教諭がどの程度給料をもらっているのか知りたい。
  • 転職先に求める給料はどのぐらいが目安なんだろう


これらの悩みにこたえます。

結論からいえば、全国を8つの区域に区分した保育士の平均収入額が公表されているため、その金額とご自身の現在の収入を比較して判断するのが最も簡単です。


これから、詳しく説明していきますね。


保育士の平均年間収入は地域ごとに公表されている



自分の給料が高いのか低いのかを知るには、まずその地域の保育士がどの程度給料をもらっているのかを知ることが大前提です。地域によって保育士の平均給料は大きく変わってくるからです。

厚生労働省が毎年調査を行い、保育士の平均給料を公表していましたが、今までは全国平均のみでした。ニュースで出てくる保育士の平均給料は、ほぼこの調査に基づくものです。

しかし、令和3年度からは全国平均だけでなく、全国を8つの区域に分類し、その区域ごとに平均給料を公表しています。

ますます、自分の働く地域の実態に応じた保育士の平均給料を知ることができるようになりました。

令和3年度については、以下のリンク先で公開されています。

令和3年度における私立保育所の運営に要する費用について(厚生労働省)

内閣府HP



ただ、この公開されている文書では、区域の説明がなく、実際の金額についてもわかりづらい記載になっていますので、以下で解説していきます。


令和3年度の人件費について





こちらの表は、私立保育所への委託費に係る予算積算上の給与格付けやそれに基づいて算出した人件費(年額)を参考として示したものとされています。


給与格付け






こちらの表は、保育士らの人件費を算出するにあたって、予算として給与の格付けや月の給料を明示したものです。

園長や主任保育士、一般保育士ごとに月額給料が示されていますね。

このうち、格付けとは、月額の給料を算出するためにどの表を使用して、その表のどの項の給料に該当するかを明示したものです。


たとえば、所長(園長)についてみてみましょう。


格付けの項目には、(福)2-33とあります。


(福)とは、福祉職俸給表のことをいいます。俸給表はこういったものです。



国家公務員のうち、福祉関係の職員に適用される給料の表です。この国家公務員の表を利用して園長の人件費を決めていくというわけです。

次に2-33は、正確には、2級33号俸といいます。

公務員には昇級という言葉があり、経験年数や役職に応じて級が上がっていきます。級が上がれば後に説明する号俸が上がるたびに給料の上がり幅が良くなります。

2級というのは、公務員でいえば、主任クラスで、経験年数5年程度の職員のクラスですので、園長にしては非常に低いことになります。

次に、33号俸は、2級のうちでどの給料の項目に該当するかを示すものです。公務員は毎年基本的には4号俸ずつ上昇していきます。

園によっては、この公務員の俸給表にならって昇給を決定している園もあるため、なじみがあるかもしれません。


本俸基準額とは、それぞれの格付けに対応した給料額です。園長の25万7900円は令和元年に人事院より勧告された福祉職俸給表2級33号俸の金額が記載されているというわけです。

そして、特殊業務手当は保育士資格でもって勤務する場合に貰える手当ですよね。こちらも人件費として考慮されるため、最後に記載されています。


地域区分



それでは次に、実際に自分の働いている園がどの区域なのか探していきましょう。

表のとおり、20/100地域とか、16/100地域とか記載されてはいますが、具体的な地方や県名などは記載されていません。

これは、国家公務員の給料を決定するにあたり支給される地域手当の割合を示したものなんです。

つまり、20/100地域とは、公務員の基本給のうち20%を地域手当として支給するような地域をいいます。

給料が1.2倍になるわけです。

このようにたくさんの給料が貰える地域はただひとつ、東京23区内のみです。

東京23区は地価が高いだけでなく、物価も高いため、住居費や食費などでも他の地域よりも必要になります。

そのため、他の地域よりも割増で給料を払っているというわけです。

他の地域も同様で、1.16倍、1.15倍と、その地域の実情に応じて手当を支給しているわけです。

そのため、保育士らの人件費としても地域手当分の増額を考慮しており、数字が大きくなるほど年間の人件費も大きくなります。

主な地域としては、以下のとおりです。

  • (1級地)20/100:東京都特別区
  • (2級地)16/100大阪市、横浜市
  • (3級地)15/100さいたま市、千葉市、名古屋市
  • (4級地)12/100神戸市
  • (5級地)10/100水戸市、大津市、京都市、奈良市、広島市、福岡市
  • (6級地)6/100仙台市、宇都宮市、甲府市、岐阜市、静岡市、津市、和歌山市、高松市
  • (7級地)3/100札幌市、前橋市、新潟市、富山市、金沢市、福井市、長野市、岡山市、徳島市、長崎市


細かい地域については、人事院規則に記載されています。以下に引用します。

各都道府県で級地が記載されていますので、その級に合わせて先ほどの地域を特定してください。

都道府県支給地域級地
北海道札幌市七級地
宮城県多賀城市五級地
仙台市六級地
名取市七級地
茨城県取手市
つくば市
二級地
守谷市三級地
牛久市四級地
水戸市
日立市
土浦市
龍ケ崎市
五級地
古河市
ひたちなか市
神栖市
六級地
笠間市
鹿嶋市
筑西市
七級地
栃木県宇都宮市
大田原市
下野市
六級地
栃木市
鹿沼市
小山市
真岡市
七級地
群馬県
高崎市
六級地
前橋市
太田市
渋川市
七級地
埼玉県和光市二級地
さいたま市
志木市
三級地
東松山市
朝霞市
四級地
坂戸市五級地
川越市
川口市
行田市
所沢市
飯能市
加須市
春日部市
羽生市
鴻巣市
深谷市
上尾市
草加市
越谷市
戸田市
入間市
久喜市
三郷市
幸手市
比企郡滑川町
比企郡鳩山町
北葛飾郡杉戸町
六級地
熊谷市七級地
千葉県袖ケ浦市
印西市
二級地
千葉市
成田市
三級地
船橋市
浦安市
四級地
市川市
松戸市
佐倉市
市原市
富津市
五級地
野田市
茂原市
東金市
柏市
流山市
印旛郡酒々井町
印旛郡栄町
六級地
木更津市 君津市 八街市七級地
東京都特別区一級地
武蔵野市
調布市
町田市
小平市
日野市
国分寺市
狛江市
清瀬市
多摩市
二級地
八王子市
青梅市
府中市
昭島市
東村山市
国立市
福生市
稲城市
西東京市
三級地
立川市
東大和市
四級地
三鷹市
あきる野市
五級地
東久留米市六級地
武蔵村山市七級地
神奈川県横浜市
川崎市
厚木市
二級地
鎌倉市三級地
相模原市
藤沢市
四級地
横須賀市
平塚市
小田原市
茅ヶ崎市
大和市
五級地
三浦市
三浦郡葉山町
中郡二宮町
六級地
新潟県新潟市七級地
富山県富山市七級地
石川県金沢市
河北郡内灘町
七級地
福井県福井市七級地
山梨県甲府市六級地
南アルプス市七級地
長野県塩尻市六級地
長野市
松本市
諏訪市
伊那市
七級地
岐阜県岐阜市六級地
大垣市
多治見市
美濃加茂市
各務原市
可児市
七級地
静岡県静岡市
沼津市
磐田市
御殿場市
六級地
浜松市
三島市
富士宮市
富士市
焼津市
掛川市
藤枝市
袋井市
七級地
愛知県刈谷市
豊田市
二級地
名古屋市
豊明市
三級地
西尾市
知多市
みよし市
五級地
岡崎市
瀬戸市
春日井市
豊川市
津島市
碧南市
安城市
犬山市
江南市
田原市
弥富市
西春日井郡豊山町
六級地
豊橋市
一宮市
半田市
常滑市
小牧市
海部郡飛島村
七級地
三重県鈴鹿市四級地
四日市市五級地
津市
桑名市
亀山市
六級地
名張市
伊賀市
七級地
滋賀県大津市
草津市
栗東市
五級地
彦根市
守山市
甲賀市
六級地
長浜市
東近江市
七級地
京都府京田辺市四級地
京都市五級地
宇治市
亀岡市
向日市
木津川市
六級地
大阪府大阪市
守口市
二級地
池田市
高槻市
大東市
門真市
三級地
豊中市
吹田市
寝屋川市
箕面市
羽曳野市
四級地
堺市
枚方市
茨木市
八尾市
柏原市
東大阪市
交野市
五級地
岸和田市
泉大津市
泉佐野市
富田林市
河内長野市
和泉市
藤井寺市
泉南市
阪南市
泉南郡熊取町
泉南郡田尻町
泉南郡岬町
南河内郡太子町
六級地
兵庫県西宮市
芦屋市
宝塚市
三級地
神戸市四級地
尼崎市
伊丹市
川西市
三田市
五級地
明石市
赤穂市
六級地
姫路市
加古川市
三木市
七級地
奈良県天理市四級地
奈良市
大和郡山市
五級地
大和高田市
橿原市
香芝市
北葛城郡王寺町
六級地
桜井市
宇陀市
七級地
和歌山県和歌山市
橋本市
六級地
岡山県岡山市七級地
広島県広島市五級地
三原市
東広島市
廿日市市
安芸郡海田町
安芸郡坂町
七級地
山口県周南市七級地
徳島県徳島市
鳴門市
阿南市
七級地
香川県高松市六級地
坂出市七級地
福岡県福岡市
春日市
福津市
五級地
太宰府市
糸島市
糟屋郡新宮町
糟屋郡粕屋町
六級地
北九州市
筑紫野市
糟屋郡宇美町
七級地
長崎県長崎市七級地



表の人件費はそのまま平均給料とはならない



さて、ここまでで皆さんの地域での保育士の平均人件費がわかったと思います。

しかし、注意点が2点あります。

  • 経験年数を考慮しない完全な平均であること
  • 保育士の配置によっては平均年収は下がる可能性があること

それぞれ見ていきましょう。


経験年数を考慮しない完全な平均であること



この人件費としての保育士の年収は、男性・女性にかかわらず、経験年数も平均的なものとして、市町村からの委託費として支給される金額です。


ですので、新卒直後の保育士からすれば全然高い金額となる可能性がありますし、一方でベテランの人からすれば思った以上に金額が低い場合もあります。

保育士の平均勤続年数が7、8年程度であることから、表の保育士の格付けである(福)1-29になるまで、毎年4号俸ずつ上がっていったと仮定できます。


そのため新卒の人は、現在の給料から毎年5000円ずつ給料が増加した場合の年収と表の人件費と比較して考えてみましょう。


たとえば、現在額面収入が17万円(手当込み、処遇改善手当は除く)であれば、7年分の昇給3万5000円を加えると20万5000円が額面収入になります。


そこで、ボーナスが4か月分であれば、20万5000円×16=328万円になります。働いている園がその他の地域にあれば、人件費年収は369万円なので41万円不足していることになります。


もし、毎年5000円を超える昇給があったり、後々手当がつくのであれば、平均に追いつく可能性がありますが、そうでなければ平均を大きく下回る給料しかもらえないことになります。


一方でベテランの人は、表の人件費に(経験年数-7年)×5000円程度が増加した金額と自分の年収を比較してみましょう。

たとえば、経験年数20年の保育士の額面収入が25万円(手当込み、処遇改善手当は除く)で、そのほかの条件が先ほどの新卒の方と全く同じ場合、369万円+((20年-7年)×5000円×16か月)=473万円は年収としてもらえているはずです。


現在の収入が25万円×16か月=400万円であれば、年収は73万円も不足していることになるのです。

ただ表の人件費には、処遇改善加算Ⅰと処遇改善加算Ⅱは含まれていないので、現在の収入を計算する場合にも処遇改善手当の分を入れてはいけないことに注意しましょう。


また、後述のとおり、園の保育士の配置が配置基準以上である場合には、そもそも人件費の額ほどの収入は期待できないことに注意しましょう。

保育士の配置によっては平均年収は下がる可能性があること



表にある保育士の人件費は、あくまで配置基準を前提とした金額であることに注意しましょう。


つまり、園が配置基準以上に保育士を配置しているとしても、支給されるのは配置基準に基づく必要人数×人件費の額しかもらえないということです。


そのため、配置基準以上に保育士を配置する園は、その増やした保育士の分だけ他の交付金や人件費から振り分けることになり、その分各保育士の給料は減らさざるをえなくなってしまいます。

「令和3年度における私立保育所の運営に要する費用について」という先ほどの書面でも、以下のように記載されています。

職員の人数や経験年数、賃金体系等は保育所ごとに異なり、例えば、委託費で算定されている職員数(配置基準)を超えて職員を雇用している保育所では、その職員数に応じた職員1人当たりの給与水準となることも考えられるなど、本通知で示す人件費と実際に支払われる人件費との差額のみをもって単純に給与水準の適否を判断することはできないこと。

「令和3年度における私立保育所の運営に要する費用について」



そして、実際には多くの園で複数担任制などを採用して配置基準以上の保育士を配置していると思います。


そのため、実際には人件費よりも給料が下がることはやむをえないです。ただ、それでも1.5割以上下がってしまっている場合には、十分に給料を貰えていないと考えて良いです。

一方で、配置基準ギリギリしか保育士を配置していない園であるにもかかわらず給料が先ほどの計算からでも明らかに少ない場合、間違いなく人件費を他の部分に流用しています。


それが園の設備投資のためであればまだマシですが、おそらく園長や法人・会社の代表者の給料になってしまっています。


この場合、このまま働いていても改善の見込みはありませんので、すぐに転職を考えるべきです。


転職する場合、的確な情報の収集が重要です。こちらの記事が参考になると思います。

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まとめ: まずは今十分に給料を貰えているか調べてみよう



いかがでしたでしょうか。


都道府県ごとの正確な年収を知ることは難しいですが、大まかな目安を知ることは簡単です。


転職をするにしても、今いる園でキャリアアップを目指すにしても、大事なのは、今十分に給料が貰えているのか、今後給料が増えていく見込みはあるのかどうかです。

その足掛かりとして、大まかな想定年収を把握することは非常に重要ですので、今回紹介した方法で今の立ち位置を調べてみましょう。

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