こんにちは、こども園副園長の「しん」です。
保育の業界で働きたいけれど、保育業界って本当に将来性があるのかなって不安になったことありませんか。
まさに、私がそうでした。
私は元々公務員だったのですが、毎日相手にするのは紙と上司ばかり…
そんな日常に嫌気がさしていたところに、もともと子どもの相手をするのが好きだったので保育業界に興味があったのと、ある人に声をかけてもらったのもあって、思い切って保育の業界に飛び込みました。
でも怖かったですよ。だって公務員って安定の最高峰じゃないですか。まじめにこつこつと働いていれば給料は上がっていくし、退職金も数千万円。ストレスはひどかったですけど、我慢さえしていればそこそこに幸せな生活が送れます。
でも、それって人生を全うしたとはいえないなって思っちゃったんですよね。自分の人生である以上、どんな結果になってもやりたいことをしたいなって。
とはいえ、だからってお金がないのは困ります。毎日の生活がかかってますから。
なので、可能な限り将来性の高い、安心して働ける職種は何かを必死で調べました。
その時に、それぞれの園の強み・弱みは何か、就職した際にどのようなスキルがあればより活躍できるのかなどを必死で考えました。
そして、実際に就職後、園の経営者と雑談するなかで私の考えを伝え、実際に仕事を任されたりもしました。そういった積み上げのおかげか、今はかなり余裕をもって働けています。
そこで、今回は、保育の業界…といっても、保育園、幼稚園、こども園のそれぞれの筋道を紹介し、就職した場合に、どの職種が最も将来性があるかを解説します。
私なりの理由も書いてありますので、その意見も踏まえて自分の将来性だけでなく、保育業界の将来性もしっかりと考えておけば、面接時や採用後のお偉いさんたちとの雑談ではかどりますよ。
もくじ
こども園の「保育教諭」には将来性がある
結論から言います。大都市圏以外であれば、将来性が最もあるのはこども園の「保育教諭」です。
なぜなら、今後給料の増加だけでなく、役職の増加や、園の数が増えていくことが確実なのと、保育士資格と幼稚園教諭の資格の双方を持つため、大都市圏での就職にも強いからです。
以下で、それぞれの園について確認して、詳しく説明しますね。
保育園の「保育士」
文部科学省のHPにある、幼児教育の現状というPDFの7枚目にもあるとおり、子ども・子育て支援新制度もあり、ここ数年では保育園の数自体は増加しています。
その結果、待機児童の解消は進んでおり、しばらくはこのまま推移するとは思います。
ただ、待機児童解消のために増加しているため、保育園は東京などの大都市圏でのみ増加する傾向で、小規模保育施設だったり、企業内保育施設など、規模の小さな園が増加している印象です。
そして、給料は、2020年の時点での全国平均年収は約375万円です。
2019年時点では約363万円でしたので、年々上がっていっていはいますね。
幼稚園の「幼稚園教諭」
文部科学省HPによると、幼稚園の施設数はかえって減少傾向です。
幼稚園には幼稚園型認定こども園も含んでいるので、幼稚園がこども園に変わったから減ったというものではなく、純粋に減少しています。
幼稚園型認定こども園とは、今の幼稚園に小規模な保育機能を加えたものですから、もともと幼稚園だったものです。
そして、給料は、2020年の時点での全国平均年収は約383万円。
この金額は、幼稚園教諭と保育教諭を合わせたものですから、幼稚園教諭だけ、というものではありませんが、保育士よりかは8万円程度高額です。
こども園の「保育教諭」
そして、こども園です。ここでは、幼保連携型認定こども園を指します。幼稚園機能と保育園機能を併せ持ったこども園で、保育園の保育機能と幼稚園の教育機能の双方とも重視しているのが特徴です。
こども園は最近設立された種類の施設なので、どんどん増えています。伸びは収まってきましたが、それでも毎年数百施設はこども園に変わっています。こども園に移行する施設の多くは大都市圏ではなく地方の園ですね。
給料は、先ほどもお伝えしたとおり、幼稚園教諭と保育教諭を合わせて、2020年の時点での全国平均年収は約383万円です。
幼稚園教諭の給料が極端に高いということはあまり考えにくいことを考えると、保育教諭も保育士に比べると給料は高い傾向にあるといえます。
保育教諭が幼稚園教諭よりも将来性がある理由
先ほど示したデータに加え、実際にこども園を運営していく中で感じている実情をふまえてお伝えします。
将来性が最も高いのはこども園の保育教諭です。
こう言うと、
でも、保育園も施設の数が増えてるじゃないか、とか、幼稚園教諭でも給料ってそんなに変わらないんでしょ、とか思うかもしれません。
なので、詳しく理由を説明しますね。
まず、幼稚園教諭ですが、今後は減少の一途をたどります。
幼稚園はあくまで3歳児以上の教育を目的とした施設で、基本的には教育時間という4時間程度しか預からないことになっています。
4時間しか預からないので、対象としているのは、基本的には夫婦の一方が専業の家庭です。
でも、このご時世専業主婦やら専業主夫の総数はそれほど多くありません。なので、どんどん幼稚園の数が減っているのです。
そして、共働き家庭が増加していくのは目に見えているので、今後ますます幼稚園は減少していくでしょう。
となると、就職の関係ではパイの奪い合いが発生します。
つまり、幼稚園では超優秀な人しか採用されなくなっていきます。
今どき専業主婦や専業主夫がいる家庭って、お金持ちのエリートですよ。
そんな人たちが子どもを特別な教育を受けさせるために通わせるのが幼稚園。幼稚園はどんどんエリートのための教育施設へと変化していくでしょう。
そこで働く幼稚園教諭もエリートであることが求められます。
モンテッソーリ教育やシュナイダー教育、横峯式といった特別な教育を熟知しているなどの特別な技能が必要です。
そして、施設が少ない以上、採用数も少ないので、採用されづらい。
超難関高校に普通受験するようなものです。
このように、就職の時点で高いハードルを求められます。採用されなければ将来性もクソもありません。無駄死にです。
ただ、そのハードルをクリアする自身があるのであれば、幼稚園教諭は非常に魅力を持つことになりますが…
保育教諭が保育士よりも将来性がある理由
次に、保育園ですが、近年施設数は増加していますが、これは待機児童問題解消のため、東京などの大都市圏において、小規模保育所や企業内保育所などの少人数の保育施設が増加しているからだと考えます。
このような施設は株式会社が運営していることが多く、利益優先なため、利益が出ないと保育園を撤退する可能性が高いです。
また、少人数の施設は大規模な施設に比べると給料自体も低い傾向があります。
園の運営という観点からいうと、保育園はこども園に比べると儲けにくくなっていきます。
実は、保育園よりこども園の方が儲かります。幼稚園部門(1号認定といいます)の収益が見込めるからです。
そのため、実は地方では多くの園がこども園に移行しています。どんどん保育園が減っていっているんです。
にもかかわらず、保育園からこども園に移行しないのには、
- 施設の規模が基準を満たしていない
- 保育教諭が不足している
- 都市部では、今は稼げているため、人員配置などの条件の厳しいこども園に移行する理由がない
などの理由が考えられます。
保育教諭の不足はともかく、施設規模が基準を満たしていない場合、今後増改築等をしなければこども園へ移行はできません。
つまり、園の運営としては頭打ちです。
そして、現状では大都市圏では待機児童問題がでるほど子どもの数はいますが、出生率がダダ下がりなため、今後はどんどん子どもの数が減っていいきます。その現象ペースは皆さんが思っている以上に早いです。
そのため、10年後、15年後、保育園の数が減っていきます。その時、じゃあ地方で保育士の仕事を探そうと思っても、地方ではこども園ばかりになっているので、保育教諭の需要はあっても保育士の需要はあまりありません。
なので、こども園の方がより将来性が高いと言えます。
さらに、働く側の観点としては、保育士資格か幼稚園教諭資格のいずれかしか持っていない場合、こども園で働くと持っていない方の資格の取得が容易になるというメリットが。
これ、めっちゃ大きいです。
まあ、条件はあって、3年以上実務経験があって、単位を取得する必要はありますが、一から取り直すより全然楽なのは間違いないです。
両方の資格があれば、現在であっても、働ける候補が1万施設ないし3万施設増えるんです。
これ、セーフティネットとしてはコスパ最強です。
いざとなればどこへいっても働き口に困らないっていうのは本当に気が楽になります。
ですので、今から保育関係で職を探すのであれば保育教諭として働けるこども園がおすすめです。
保育教諭の求人の探し方についてはこちらの記事で説明しています。
ちなみに、地方で設置が増えている幼保連携型認定こども園って設置主体が国、自治体、学校法人、社会福祉法人のみに決められています。
ここで、大事なのは、
株式会社が入っていないことです。
株式会社が運営する保育園は社会福祉法人よりも給料が低く、昇給もあまり見込めないと言われています。
例えば、東京都の平成31年3月の保育士等キャリアアップ補助金の賃金改善実績報告等に係る集計結果によれば、
認可保育所の平均賃金については、
社会福祉法人の施設 | 356,292円 |
株式会社の施設 | 291,486円 |
となっており、大幅に差がでています。株式会社は利益を出すのが最優先になるので、給料は抑えられ気味になります。
なので、職探しをする際には、幼保連携型認定こども園を探すとより給料の高い園を見つけやすいですよ。
なお、保育所型認定こども園は名前が良く似ていますが、こちらは設置主体に制限がなく、株式会社でも参入できます。こども園なら大丈夫!というわけではないのでご注意を。
職探しのやり方を間違えると、平均給与を大幅に下回る施設に就職してしまう可能性があるので、しっかり対策しておいた方が良いですよ。
>>【施設により待遇が違う!】保育士・保育教諭の求人の探し方
まとめ: 仕事を探すなら保育教諭として働ける「こども園」で
今回は、保育教諭が保育業界で最も将来性が高い理由を紹介しました。
これから盛り上がっていく業界に身を置いていないと、鬱や離職のリスクが高まりますので、職探しの前にしっかりとどうやって就職活動をしていくか考えておくことをおすすめします。