こんにちは。
認定こども園副園長の「しん」です。
皆さんは、このような悩みを抱えたことはありませんか。
- 定期昇給以外に給料を上げる方法はないかな?
- よく転職をするけど、新しい園でももっとお金を稼ぎたい
- 給料アップはしたいけど、そのためにお金がいっぱい必要なのは嫌
これらの悩みを解決するための手段の一つとして、「キャリアアップ研修」が効果的です。
今回の記事では、キャリアアップ研修とは何か、研修を受けることでどのようなメリットがあるかを紹介します。
もくじ
キャリアアップ研修
キャリアアップ研修とは
キャリアアップ研修とは、保育士の給与改善のために策定された「処遇改善等加算Ⅱ」という制度に基づく研修です。
Ⅱというからには、Ⅰもあります。
Ⅰは保育士らの経験年数を元に加算(補助金)が決定されるのに対し、Ⅱは園に知識・経験に応じた役職を新たに設置しその役職者の数に応じて加算が決定されます。
具体的にいえば、以前は保育士のキャリアとして、
クラス担任→主任保育士(主幹保育教諭)→副園長→園長
という流れが一般的でした。
この場合、主任保育士や副園長、園長は多くの園で1人なため、ほとんどの保育士が役職者になれないままになってしまいます。
このままでは、知識や経験に応じた役職につくことができず、いつまでたっても給料が上がりません。
そこで、国が新たに役職を定め、それに応じた補助金を出すことで、キャリアに応じた給料アップを目指そうとしました。
また、役職者になるにあたって適切な研修を受けさせることで、保育士全体の専門知識の向上も目指しています。
給料アップと専門性アップ、この二つを実現しようとするのが処遇改善等加算Ⅱなのです。
新たに増えた役職は3つ
処遇改善等加算Ⅱにより新たに創設された役職は以下の3つです。
- 副主任保育士・副主幹保育教諭
- 専門リーダー
- 職務分野別リーダー
園によっては、呼び方は変わってくる可能性があります。
以下で、それぞれの役職を詳しく説明しますね。
副主任保育士・副主幹保育教諭
主任保育士・主幹保育教諭をサポートする役職です。
経験年数 | 7年以上 |
職場での人数の割合 | 全体の3分の1 |
加算要件 | 4分野以上の受講 うち1分野はマネジメント。保育実践は不可。 |
加算金額 | 40,000円 |
専門リーダー
専門性の高い保育士・保育教諭として、他の保育士らに対してサポートやアドバイスを行います。
経験年数 | 7年以上 |
職場での人数の割合 | 全体の3分の1 |
加算要件 | 4分野以上の受講 マネジメントと保育実践は不可。 |
加算金額 | 40,000円 |
職務分野別リーダー
特定の分野について、高い専門性をもつ保育士・保育教諭として、他の保育士らに対してサポートやアドバイスを行います
経験年数 | 3年以上 |
職場での人数の割合 | 全体の5分の1 |
加算要件 | 1分野以上の受講 マネジメントと保育実践は不可。 |
加算金額 | 5,000円 |
加算がそのまま給料につながるわけではない
ただ、これらの役職に就いたからといって、必ず給料が上がるというわけではないことに注意が必要です。
さきほどまで説明してきた、役職に応じて給付を受けることができる加算とは、あくまで園に対する補助金です。
そのため、園が受けた補助金をそれぞれ職員に配分する必要があり、園は各職員の知識や経験、園での立ち位置などに応じて具体的な配分額を決定します。
加算→分配→処遇改善手当
という流れを経ることで給料がアップします。
このままでは、園が補助金を貰うだけ貰って適切に分配しないのではないか?と不安になるかもしれません。
しかし、分配方法には制限があり、例えば、副主任・専門リーダーについて、支給対象者のうち一人以上に対し満額を支給しなければならない、など規定されています。そのため、満額支給されなかった人の分を主任保育士・主任保育教諭や分野別リーダーに分配され、その結果、加算以上の給料アップを見込める場合もあります。
これらの事情を考えると、ベテラン層よりも新人を脱したこれから中堅層になる人の方が、より給料が高くなる可能性がありますよ。
キャリアアップ研修の内容は8つの分野から
キャリアアップ研修の内容は8つの分野に分かれています。
- 乳児保育 乳児への適切な関わり、保育環境を学ぶ
- 幼児教育 幼児の発達に応じた教育や環境を学ぶ
- 障害児保育 障害への理解、保育環境について学ぶ
- 食育・アレルギー対応 食育やアレルギーへの正しい知識を学ぶ
- 保健衛生・安全対策 保険計画や事故・病気感染防止を学ぶ
- 保護者支援・子育て支援 保護者支援の方法や地域ごとの支援を学ぶ
- マネジメント リーダーシップや人材育成などマネジメントを学ぶ
- 保育実践 子どもに対する理解を深め、実戦的な保育を身につける
このうち「保育実践」の対象は、現役の保育士・保育教諭ではなく、過去に保育士などで勤務した経験のある人や保育士資格を持ちながら保育士などとして働いた経験のない人です。そのため、現役保育士のキャリアアップに対する加算である処遇改善等加算の要件に「保育実践」は含まれません。
キャリアアップ研修を受けることによる4つのメリット
キャリアアップ研修は、お金がほとんどかからず受講できるにもかかわらず、非常にメリットが大きい制度ですので、必ず受けるようにしましょう。
研修を受講すると、以下のようなメリットがあります。
処遇改善手当が貰える役職者の条件を得られる
処遇改善手当を受けるには、その前提として新たに設置された役職に就くことが必須です。これらの役職に就くには、保育士や保育教諭としての勤務期間だけでなく、キャリアアップ研修の履修が必要なので、研修を受けておかなければ給料アップの機会を逃すことになります。
専門知識を深められる
キャリアアップ研修では、幼児教育や食育、感染症関係、マネジメントといった幅広い分野について学ぶことができるため、現在の保育士や保育教諭としてのキャリア形成にあたり、より専門的な知識を学ぶことができます。
研修を受けただけでは知識としては他の保育士らと並ぶ程度のものにしかなりませんが、研修を機により深く学ぶことで、他の保育士らにはない独自性を得ることができるようになります。
修了証は転職時にも使える
キャリアアップ研修を修了すると、修了証が交付されます。
この修了証は現在勤務している園でだけでなく、他の園でも活用することができます。もちろん、他県でも問題ありません。キャリアアップ研修は全国一律で実施されているため、修了証は全国画一で効力を持っているためです。
つまり、今のうちに研修を修了しておけば、将来転職することになったとしても、新しい園で勤務するようになって早い段階で役職者に就くことができるため、給料アップの可能性が高まります。
研修費用は無料
キャリアアップ研修の受講費用は無料です。
テキスト代のみが自己負担として必要になります。
一分野につき15時間以上の講義を受けても受講費用はかからず、専門的な知識を学べるため、非常にコストパフォーマンスが高いです。これだけの研修で受講費用がかからないというのは、私は聞いたことがありません。
まとめ:キャリアアップ研修を受けて、継続的に給料アップを目指そう
いかかでしたでしょうか。
キャリアアップ研修は、給料アップの可能性が手に入るうえ、金銭的な費用負担がほとんどない、非常に魅力的な制度です。
ですので、積極的に研修を受けるのがおすすめです。
ちなみに、この研修を受ける際には、所属する園がどの程度サポートしてくれるかをチェックしておきましょう。
この制度は園にとっても、職員のレベルが上がり、加算を職員に手当として分配することで離職率を下げるなど、魅力的な制度です。
それなのに、研修を受けることについて難色を示されたり、保育士の数が足りていないからと苦言を呈されるようなことがあれば、本当にその園で働き続けるべきかどうか一度考えてみましょう。
将来を考えた場合、園の環境を変えるか自分の居場所を変えることを考えなければなりません。
とはいえ、転職は簡単ではありません。
なので、園に対し研修がどれほど園にとって利益になるかしっかりと説明して理解を得るようにしましょう。普通の園であれば、研修受講中の人員配置について遣り繰りが必要にはなるものの、職員全体のレベル向上が図れるため、あまり否定的になりません。数年後には受講の義務化も予定されているので尚更です。
それに対し、将来性のない園は、職員の将来性について思いを馳せることは絶対にありません。研修が職員の実力を押し上げ、園としての評判を高めるとは考えません。なので、苦言が出たり、いやな顔をされます。
そのような園にいると、使い潰されてしまいます。
この場合には、潔く転職してしまいましょう。今は保育士不足の時代なので、もっと条件が良く、働きやすい園は必ずあります。
転職するのであれば、自分の足で探すのではなく、プロに動いてもらいましょう。